その42.

春になると、枯草の下に色々な動物が出て来るんだよ。
特にチチは何か下にいるのが判るセンサーを持っているみたいなんだ。
じーっと枯れ草を見ていたかと思うと、ピョンピョンとジャンプして、ネズミ
の赤ん坊や何だか判らない動物を捕まえる。
僕はそんなに小さい動物は興味がないから、知らん振りだけど、チチにはオモ
チャみたいに感じられるんだ。

ある日、またいつもの様に湖の周りを散歩していると、チチが何かを見つけた
んだ。
ジーっと一点に集中して、そのときは前足が片方上がるんだ。
これは、ハンテングドッグが獲物を見つけた時にみんなやるサインなんだ。
でも、不思議だよね。誰も教えてくれないのに、チチはピッと左足があがって、
ハンテングの体勢を取るんだから。

ピョンとジャンプしたかと思ったら、チチは鼻ズラを枯草の中に突っ込んで、
何かを捕まえて頭を上げたとたん「ギャー、痛いー」って叫んだ。
そして、頭をブンブンゆすって、小さい黒いものが宙を飛んだんだ。
「どうしたの?チチ」
マミーも、チチの叫び声にビックリしてみると、チチの鼻先に黒いものがぶる
下がっていて、チチは頭を揺すってそれを取ろうとしていたんだ。
その飛んだものを見に行くと、それは、モグラの赤ちゃんだった。
チチはモグラの赤ちゃんの胴体をくわえて頭を上げたとたん、もぐらの赤ちゃ
んが体をひねって、チチの鼻先に噛み付く反撃に出たんだ。

まー、ビックリするは、痛いわでチチはギャオーって叫んだんだ。

その後のチチは凄く恥ずかしかったみたいで、フンフンって、鼻歌を歌うよう
に、何事もなかったような顔をした。マミーは、そのチチがおかしくて、おか
しくて、その場でクスクス笑っていたよ。

チチの話はもっとあるんだ。
チチはププマシーンってあだ名があるんだけど、ププはウンチの事。
出かけるたびに、必ず、ウンチをするからなんだ。
でも、そのウンチのサイズがでっかいので、マミーはフランクフルトみたいだ
って、いつも、思っている。何しろ、チチは僕の半分の体重でサイズも子犬に
間違えられるのに、ウンチのサイズだけは、フランクフルトなんだ。

ある週末、また森に行ってからビッグフィールドに行き、チチがダディの目の
前でデッカイのをした。そうしたら、お尻の穴から血が出たんだ。ダデイはビ
ックリして、そのまま、チチを獣医さんの所に連れて行った。そうしたら、何
と、切痔だったんだよ。
あんまりウンチが大きすぎて、切痔になっちゃったんだ。その上、チチは大の
暑がりで、ジョギングすると、必ず、水溜りや小川に寝そべって、体をクール
ダウンする。
お尻の傷にその時に黴菌が入ってしまって、炎症も起してしまったんだ。
お尻の穴は真っ赤か。獣医さんから、抗生物質の飲み薬と痔の薬を貰って85
ドル。
僕の脱毛の時のほうが高かった。(マミーはダデイが僕たちを獣医さんに連れ
て行った方がいつも、安い、マミーはボラれていると信じている)

僕たちの帰りがいつもより遅いので、マミーは心配していた。
ドアの所で待っていてくれて、「ダディ、どうしたの?遅いじゃない?」とち
ょっと、怒っていた。
ダデイは、チチのお尻から血が出て獣医さんに行って、85ドル払った事を話
した。
そうすると、「チチの痔の薬はダデイが付けなさい。ダデイの仕事よ」と冷た
く、言い放ったんだ。
とにかく、チチはダデイズ ガールだからね。
それから、毎晩寝る前に、ダディはチチのお尻の穴に痔の薬をつけてあげるん
だ。
そうすると、チチはウットリとして、ダディがチチだけにするスペシャルサー
ビスで一人占めしている気持ちになっているんだよ。
                           
つづく(次号掲載は8月2日を予定しています)

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