その95. 雪で外は真っ白だ。僕とチチはマイナス10度以下にならなければ、雪が大好きだ。 でも、道路は雪が沢山降ると、脇に雪の山が出来て、車が来たときに避けられない ので、危ないんだよ。 だから、雪が沢山降ったら、お散歩は裏のゴルフコースなんだ。 1月、2月はマミーはエスキモーのような格好で僕たちをつれて散歩する。 リーシュはつけないから、僕とチチは思いっきり、好き勝手できるんだ。 もちろん、シーシーもあっちこっちにするよ。 3月に入って、大雨が降って、長い間真っ白だったゴルフコースの芝生が顔を出した。 もうすぐ、春なんだ。 所が、マミーは大変なことに気がついた。 芝生に点々と何十ヶ所も茶色いサークルが出てきたんだ。 これは、僕とチチがしたシーシーが芝生を焼いてしまった後だ。でも、僕たちは雪の 上にシーシーをしていたのに、どうして下の芝生まで焼けてしまうのか、マミーには 解せなかった。 「やっぱり、タマタマ、チチは年取ってきたから、シーシーの中に何か強烈なものが 含まれているのかしら?」とまた、いつもの独り言を言った後、大変だ、大変だ! と一人で大慌てしていたよ。 夜になって、ダデイに「大変なのよ、裏にタマタマとチチのシーシーが芝生を焼いて 茶色が点々としていて、誰が見ても、タマタマたちがシーシーしたのがわかっちゃう よー。 きっと、ゴルフ場の人や近所から文句言われるに決まっているー。 どうしよう、どうしよう」ダデイは「大丈夫だよ。芝生が伸びてくれば、すぐに隠れ るから、心配ないよ」とちっとも相手にしなかった。 次の日、マミーはガーデンショップに出かけて行って、「芝生リペアーキット」とい うのを買ってきて、インストラクションを読むと、「犬の尿は芝生の根っこまで殺し てしまうので、約3CM位掘り返して、このリペアーキットを蒔くように」と書いて あった。 「やっぱりー、自然には回復しないんだ」 次の朝、マミーは5時に起きて、外はうすくらい中、ホッカムリをすると、コソコソ とゴルフコースに出て行ったよ。 ご近所が目を覚ます前に、やってしまおうと思ったらしいんだ。 三つ又のシャベルのようなものでゴシゴシと茶色の所を引っかいて、そこに種を蒔い て回ったんだ。 天気が良くなって皆がゴルフを始めるまで、シーシーの痕がなくなりますように。 つづく(次号掲載は4月23日を予定しています) |